広島経済同友会
 
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発足にあたって
アドバイザー 高橋 正光

還暦を迎えたとき、今までの自分の人生を振り返ってみた。確かに私たちは「戦後の復興を我々の手で」という使命感で働いてきました。それは、豊かさの追求でした。「衣食足って礼節を知る」の諺のように、豊かになれば幸せになれると信じていました。

 その間、世間の風潮など、これは少しおかしいと思いながら、見過ごして働いてきました。民主主義、平和主義、平等主義など、主義といえるものまで思想が昇華したものでなく、単なる薄っぺらな意見のレベルに過ぎない考えが、社会のあちこちで大手を振って歩いていたことを、甘く見ていたと今にして思います。

 その結果として、昨今、社会の中で政治家・官僚・経済人・警官・教師・父母・生徒等あらゆる分野で、考えられない事件が起こるのが、日常茶飯事になりました。

 このような迷いを感じているとき、当時代表幹事の田村さんから、同友会の中で、もっと個人の意見が飛び交う同友会らしい風土ができないかとご提案があり、40代50代の同友会としては若手の方々が集い、談論風発の場「きすう会」を発足いたしました。

 名称の「きすう会」は、五木寛之氏の「生きるヒント」から名づけました。「道教の思想は海のような思想だ。きれいな水も濁った水も、流れてくるものすべてを受け入れて、その中でもう一度新しい水を水蒸気として出したり、新しい生命を育む、そういう包容力のある世界が海だ。その道教の大事にする数字が奇数である。偶数と奇数を比べると、偶数は、割り切れて合理的で儒教に近い。奇数は二で割ると必ず一つ残る。その一つ余った存在に気付き、受け入れるのが、戸惑いの時代を楽しく生きていく上でのヒントになるのではないか」という一文から拝借した名称です。

 主なテーマは、日本人がどのような過程で民族の規範を形成していったのか。仏教や儒教、武士道などから形成された規範が、歴史の中でどのような変遷をたどってきたか。司馬遼太郎先生の言葉を借りれば、「日本人の規範について、戦後みだらに触れたことがー思想書がないままにーいかなる結果をもたらすか、日本人一人一人が大いに認識しなければ、日本の未来はない」といわれるところの日本人の思想書を模索したいと思っています。