日本経済は、国内外における新型コロナウイルス変異株の広がりへの懸念などから、新型コロナ流行の収束が見通せない中、全体としては回復してきているものの、観光、飲食、運輸など特定の産業は依然として大きな影響を受けているなど、産業毎のばらつきが大きい状況にある。先行きについては、コロナ禍を乗り越え、感染症対策と経済成長を両立していくための各種政策の効果もあって、持ち直しの動きが続いていくことが期待されるが、回復ペースは緩やかにとどまると見込まれており、影響の長期化や、回復度合いの二極化が懸念される。
また、人口減少や超少子高齢化等の進展に加えて、気候変動に伴う自然災害が頻発・激甚化する中、デジタル変革(DX)や、2050年カーボンニュートラル(CN)への対応など、大きな変革の動きが加速しており、持続可能で魅力ある地域づくりに向けた地域活性化の取り組みの重要性が増している。
広島県経済においても、先行きについては、徐々に改善に向かうことが期待されるが、広島経済同友会 新常態移行委員会が令和3年度に実施した「新型コロナウイルスの感染影響(新常態移行)に関するアンケート調査」の結果では、前回調査と同様に、新型コロナ流行前の経営状況を下回る期間が長期化するという見方が大勢を占めるなど、先行き不透明な状況となっている。こうしたことから、広島県全体の活気を取り戻すべく、ウィズコロナ・アフターコロナといった新常態を踏まえた地域経済の発展に資する提言や活動に取り組んでいく必要がある。一方、広島市都心部では、サッカースタジアムの建設や、広島駅の建替え・再整備などの大規模プロジェクトが進められており、これらによる賑わいの創造が地域活性化へと波及することが期待される。
こうした認識のもと、広島経済同友会では、以下の基本方針に基づき、本年度の活動を進め、今後も引き続き地域社会に貢献することで、地域に根ざした経済団体としての存在価値を高めていく。
広島経済同友会の活動の4本柱である「まちづくり」「ひとづくり」「しごとづくり」「オール広島」の枠組みを堅持し、以下の部会・委員会を設置して一体感ある活動を進める。
1. まちづくり :まちづくり委員会、文化振興委員会
2. ひとづくり :ひとづくり委員会、ダイバーシティ委員会、事業承継委員会
3. しごとづくり :ものづくり委員会、創業支援委員会、広島ブランド委員会
4. オール広島 :総務部会、交流部会、国際委員会、新常態移行委員会
なお、各支部・部会・委員会(以下、各部門という)は、以下の考え方で活動を進めていく。
・地域経済の発展に向け、調査・研究により具体的な課題を把握するとともに、課題解決等に向けた議論を深め、「提言の発信」および「行
動の実践」に積極的に取り組む。また、新型コロナウイルスによってもたらされた問題やウィズコロナ・アフターコロナ等、新常態と呼ば
れる環境の変化を踏まえた必要な対応を、これらの活動に取り込むこととする。
・「提言の発信」および「行動の実践」を着実に進めていく観点から、各部門における活動について、役割・目的および活動のあるべき姿を
認識した上で、事業計画をもとに年間を通じたPDCAサイクルを意識して取り組む。
・各部門横断的な課題などについて、情報共有を行い、各部門間が連携した具体策検討の活動につなげる仕組みづくりを進める。
・会議・行事等をはじめとした各種活動にあたっては、リアルの対話の重要性を認識した上で、リアルとオンラインそれぞれの特性を適切に
組み合わせた運営を行う。